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20代女性「上下の前歯が噛み合っていない」歯科矯正用アンカースクリューを使って外科手術せず治した症例
年齢 | 20代 |
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性別 | 女性 |
主訴/ニーズ | 前歯が噛み合ないこと、受け口(しゃくれ)を治したいと来院されました。 |
診断 | 骨格性下顎前突、開咬 |
診断詳細 | 拝見したところ、ご本人の表現の前歯部が噛み合わないという症状よりは、むしろ奥歯でしか上下の歯があたっていないという、重度の開咬でした。 奥歯も上下が接してはいますが、かみ合わせは大きくずれた状態でした。 また骨格的にも受け口の傾向が認められました。 重度の開咬に伴い、舌の位置や使い方の問題(舌癖)があり、これが開咬に関わっている可能性が高いと思われました。 レントゲン検査による下顎前突の程度は中程度ではありますが、開咬の程度や奥歯のずれが大きいので外科処置を併用する方法をすすめました。しかし患者さんからは矯正治療だけで治したいという強い希望がありました。 これまで、同様の症例を外科処置せずに治した経験はありましたが、治療後に後戻りが生じてしまっていました。矯正だけで治療する場合、後戻りのリスクがある点を十分にお伝えし、治療をご選択いただきました。 加えて、なるべく後戻りを防ぐために舌癖の改善のトレーニングをしっかり行うことを前提にご同意いただけましたので、治療を開始することにしました。 |
治療内容 | 患者さんご本人は、外科手術を望まず矯正治療だけで治すことを望まれました。まず、矯正治療にさきだって、舌癖の改善のために口腔筋機能療法(MFT)を行いました。 MFTの効果が出てきたことを確認した後、上下左右の小臼歯と下顎の第3大臼歯(親知らず)を抜歯して矯正治療をはじめました。大変難しい治療ですので、歯科矯正用アンカースクリューを用いることにしました。 |
費用 | 基本施術料30万円 装置料:クリアブラケット装置40万円 保定装置8万円 別途検査料(術前59,800円 術後19,000円) 口腔衛生指導料5,500円 処置料8000円×45回 歯科矯正用アンカースクリュー30000円 アンカースクリュー植立に伴うCT撮影12000円 ※表記は税別になります。 |
期間 | 3年3か月 |
院長コメント | かなり難しい治療でしたが、良い結果が出た症例だと思います。患者さんも大変満足していただいております。 この治療では奥歯を少し埋め込むことでかみ合わせを深くしていますが、その結果やや顎はしゃくれた形が強くなっているようにも見えます。このややしゃくれがでてくることについては、治療開始前に患者さんには説明同意を得たところですが、ここの程度であればあまり問題はないようにも感じます。 横顔の問題が治療において重要なポイントであったならば、外科処置を選択しただろうと考えます。 前歯のかみ合わせの開いている部分に、舌をさしこんでものを飲み込む舌突出嚥下癖がありました。ものを飲み込むことを嚥下といいます。ものを食べていないときでも1時間に120回ほどは嚥下しているという研究報告もあり、その度に上下前歯の間に差し込まれる舌が矯正治療には悪影響を及ぼすことは容易に想像できます。 またこのような癖のある人では舌の位置が悪く、飲み込むときだけに限らず、舌から歯に力がかかっていることもあり、舌癖の改善はこの治療について大切な要素です。このような舌癖を治す治療を口腔筋機能療法(MFT)と呼び、矯正治療専門開業医では併用して治療を行っているところが少なくありません。 |
治療のリスク等 | ・歯を動かす場合、舌癖が出現して噛み合わせが安定しないときは舌癖のトレーニングが必要になります ・歯を動かす場合、まれに歯の根が短くなることがあります ・歯を動かす場合、噛み合わせが変わるため、まれに顎の関節の音がしたり痛くなることがあります ・歯みがきが悪い場合はむし歯になることがあります ・保定装置を入れていない場合は歯並びは元の状態に戻ることがあります ・親知らずが生え、歯並びを押して悪くする場合は抜歯する必要があります ・下の前歯が少し内側に傾斜し、おとがいの突出感が残ります ・舌癖が治らない場合はかみ合わせが安定しにくいことがあります ・舌癖が治らない場合は上下の前歯の間にスペースが開くことがあります |
治療中
でこぼこが少ない症例でしたので、他の症例に比べ治療開始時に装着している装置数が多いです。歯科矯正用アンカースクリューはこれより1〜2ヶ月先駆けて植立しており、安定が確認できておりますので、この時点より取り外しのゴムの使用を開始しています。
また、この症例は下顎の親知らずを最初から抜いていますが、奥歯を埋め込む必要がある症例では矯正治療前に下顎の大臼歯を抜歯することが少なくありません。
保定開始2年後
わずかにかみ合わせが浅くなっているようにも見えますが、ものを咬むということについての問題は生じていないとのことです。難症例としては予後は良好といえると思います。以前の同様のケースではMFTがしっかりやっていただけなかったのが、後戻りの一因と考えておりましたので、この症例ではMFTの効果を十分感じることができました。