矯正治療と歯茎さがり(歯肉退縮)について
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矯正治療における歯肉退縮のリスク
矯正治療のリスクのひとつとして、『歯肉退縮』があります。これは歯を動かすにつれて、歯茎が下がり歯根が露出していってしまうものです。弊害としては、まずは審美的な(見た目の)問題です。 前歯に歯肉退縮がおきてしまった場合、審美的な問題が一番の問題となると思います。日常生活の中で歯茎が露出することはそれほど多くないかもしれませんが、元々歯茎の露出があるような患者さんの場合は目立ってしまう可能性もあると思います。 一方で、歯肉が退縮するということは、本来はそこにあるべき歯根を支える骨(歯槽骨)もなくなってしまっているので、歯は望ましい状態ではなく、その後さらに歯肉退縮が進行する可能性は否定できません。 また、歯肉が下がり歯根が露出したところでは、知覚過敏がおきることがあります。この場合、知覚過敏処置の対応が第一選択になります。歯根表面と歯の表面ではエナメル質で覆われていない歯根のほうが柔らかいので、歯磨きによって歯根が削れ、知覚過敏がより進行していく可能性もあります。歯肉退縮と歯周病の関係
では、歯科矯正治療による歯肉退縮を防ぐことはできるのでしょうか。 矯正歯科医は歯肉退縮については細心の注意を払って治療をされていることがほとんどだと思います。歯肉退縮が起こる患者さんについては、多くの場合もともとある叢生(歯が部分的に重なっている状態)などに関連して、歯周病がすでに生じていることが少なくありません。 歯周病が生じている場合、見かけ上歯肉はあっても骨はすでに失われており、この状態で歯を動かすと、歯肉の位置がすでに下がっている骨の位置まで下がることで、歯肉退縮が生じるということになります。歯肉退縮が認められた症例
症例を3つほどお見せします。 最初の症例は、初診時からかなり下の犬歯(3番目の歯)に歯肉退縮がありました。治療前
治療後
治療終了2年後
次の症例は、歯肉退縮のある歯を抜歯した症例です。
抜歯前
治療前
下顎の歯根が手術のあとに露出してきてしまいました。
治療後